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介護職員処遇改善手当が給料に反映されない本当の理由

介護職員処遇改善加算が給料に反映されていない理由 介護転職ブログ

介護職員処遇改善加算(以下、処遇改善加算)とは、介護職員の賃金を補填し、人材不足や離職率の高さといった労働環境の改善のための政策です。

介護報酬の減額によって懸念される現場スタッフの賃金低下対策、そして介護職というマイナスイメージの払拭も狙いと言われています。

平成27年度は平均して月額12,000円の給与アップが見込まれていました。しかし現実はそれほど単純なものではありません。

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処遇改善加算を誰にいくら分配するかを決めるのは管理者レベル

処遇改善加算の開始を知った多くの介護職員は「これで毎月の給料が増える」と歓喜したことでしょう。しかし、それほど事態は単純ではありませんでした。

処遇改善加算が実施された後も給料がほとんど変わらない、むしろ年収で計算すると減ったという方もいます。何故このような事態に陥ったのか?

その最大の原因こそが、処遇改善加算の分配方法は施設や事業所の管理者に任せられているということ。つまり、国から支給された処遇改善加算を誰にどれだけ分配するかは、施設長やセンター長次第ということです。

現場で働く職員からは「話が違うじゃないか!」といった声も上がっているようですが、これが政府が決めたルールです。

そのため、職場によって、そして職員によっても支給額は異なるといったケースが全国各地で発生しています。金額の差はもちろん、もらえる人ともらえない人もいるそうです。

なお処遇改善加算には一定の支給基準があり、経営者が故意に基準額を下回るように余らせたり、架空の支払いを行い利益として計上した場合は、厳しい指導対象となります。

月給が増えて年収が減る事態が続出

給与明細に処遇改善加算の表記があり、毎月の給料が12,000円増えたと喜んでいるのもつかの間。職場の給与体制が変わって夏と冬のボーナスが激減。その結果、前年よりも年収は低くなった

残念ながら決して珍しい話ではありませんし、他人事でもありません。実際に現役の介護福祉士から聞いた話しです。前述しましたが、処遇改善加算を誰にいくら支払うかを決めるのは経営者レベルの人間です。

勤務態度が悪い社員には支払わないのもアリ。仕事はできないけど毎日頑張っている若手に支払うのもアリ。家族経営なら親族社員に多く支払うのもアリなんです。

職種によっても処遇改善加算の格差がある

処遇改善加算は介護事業携わっている全ての職員が対象となっている制度です。ですので、介護士以外にも、ケアマネジャーや介護業務を兼任する看護師も対象です。

しかし、処遇改善加算はケアマネジャーも対象となっていますが、実際はケアマネジャーにはほとんど行き渡っていないのが現状のようです。

というのも、募集すればすぐに集まるケアマネジャーと違い、介護士の方が圧倒的に人手が足りておらず、さらに人材としても介護士の方が需要も高いためだとか。ケアマネジャーが世に溢れてるといった背景もあり、処遇改善加算の分配額は基本的に介護士が優遇されている職場が多いようです

人事事情も関係している

処遇改善加算は支給時期に関しても全て管理者が一任しています。ですので、退職希望者がいる時期を避けて支給を延滞するといったケースも珍しくありません。あまりにも先延ばしにする場合は指導対象になりますが、ある程度であれば違反ではありません。

賃金以外の目的には使用できない

とある相談サイトで「処遇改善加算は職員が働きやすい環境のためになら使ってもいい」という言い分を耳にしましたが、これは認めらていません。

処遇改善加算の目的は介護職員の賃金改善策ですので、加算分は必ず従業員の賃金(昇給、一時金、賞与など)として使用しなければなりません

派遣社員の処遇改善加算は?

派遣社員として働く介護士も多いなか、気になるのが派遣社員に対する処遇改善加算。厚生労働省によれば、派遣社員でも処遇改善加算の対象となるとのことです。

Q:介護職員が派遣労働者の場合でも交付金の対象となるのか。
介護職員であれば派遣労働者であっても本交付金の対象とすることは可能であり、派遣元と相談の上、交付金を派遣料金の値上げ分等に充てることは可能である。この場合においては、計画書・実績報告書は、派遣労働者を含めて作成することとする。

引用元:賃金改善の方法等について(厚生労働省)

ただ「派遣元と相談の上」というワードがポイントで、処遇改善加算を含む時給になっている派遣会社もあれば、交通費や皆勤手当といった名目で支給されているケースもあります。既に派遣社員として働いている方は、一度担当者に確認してみるといいかもしれません。

処遇改善加算には期待してはいけない

ここまでで御察しの通り、処遇改善加算は「もらえたらラッキー」程度にとどめておくといいかもしれません。そもそも「介護報酬は減額したけど介護職員の賃金は上げたい。でも分配額は施設・事業所の管理者に任せる」といったルールが根底から間違っていると思いませんか?

おそらく、介護報酬の削減に激怒した介護連盟のようなお偉いさん団体を黙らせるため、政府が投じた一種のバラマキ政策が処遇改善加算なのでしょう。なんでも金で押さえつける政府のお得意技。何を隠そう、そのお金は国民の税金なのですが。

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