訪問入浴は、ご自宅でお風呂に入ることが困難な高齢者・身体障害者の、入浴をサポートする介護サービスです。基本的には、ヘルパー、オペレーター、看護師の3人1組のチームで利用者宅を訪問し、入浴介助を行います。
訪問入浴介護事業所で働く職員
職種 | 役割 |
---|---|
ヘルパー | 入浴介助・浴槽準備 |
オペレーター | 訪問入浴車の運転・入浴介助・浴槽準備・ボイラー管理 |
看護師 | 体調確認・入浴介助 |
管理者 | 事業所常勤・管理業務 |
訪問入浴の仕事内容
訪問入浴のサービス提供時間は、1件あたり40~60分程度。1日数軒の利用者宅を訪問する場合は、限られた時間内でテキパキ動く必要があります。
1. 入浴前の体調確認(バイタルチェック)
利用者宅に訪問して、まずは看護師が利用者様の体調確認(バイタルチェック)を行います。血圧、脈拍、体温などの健康状態に異常がなければ入浴可能です。
入浴不可の場合は、清拭や部分浴となります。
ですので、看護師が「入浴可能」と判断してから入浴準備に取り掛かります。それまでヘルパーやオペレーターは、机や椅子などの家具を移動し、浴槽を設置するスペースの確保などを行います。
※清拭(温めたタオルで体や陰部を拭く・ドライシャンプーによる洗髪など)
※部分浴(シャワー等により、洗髪・陰部・足部等の洗浄など)
2. 浴槽準備・湯はり
まずは、訪問入浴車に積まれた浴槽の組み立てから始めます。訪問入浴用の浴槽は、前後2つのパーツに分かれている物から、そのまま浴槽の物まで様々。どちらにしても重量があるため、運ぶにはそこそこ力が必要になります。
室内にグラウンドシート(防水シート)を引いて浴槽を設置。給水ホースと排水ホースを繋いで湯はりを行います。
浴槽に入れるお湯は、こまめな温度調整が必要となりますので、訪問入浴車に搭載された専用の灯油ボイラーで沸かします。事業所によっては、ご自宅の給湯器を使用してお湯を沸かす事業所もあるようです。
浴槽に使用する水は、訪問入浴車に搭載された清水タンクの水を使用する場合や、利用者宅の水道水をお借りする場合など、事業所によって様々。1日に数件回る場合は、水道をお借りする場合がほとんどです。
浴槽のはるお湯の温度は基本的に微温浴。利用者様の身体に負担がかからない温度で入浴介助を行います。
希望に応じて温度あげたり下げたりと、可能な限り柔軟な対応が求めらます。
また、冬場であれば、入浴介助後に湯冷めしないよう、エアコンで室内の温度を高めにしておくことも重要です。
3. 入浴介助
まずは、利用者様の服を脱がせる脱衣介助から行います。この際も、看護師やヘルパーは利用者様の身体に異常がないか注意を払う必要があります。
衣服を脱いだら入浴介助となります、洗髪、洗身で優しくゆっくりと身体を洗います。
シャンプーやボディーソープなどは、事業所で用意した低刺激の製品を使用しますが、利用者様のお気に入りがあればそちらを使う場合もあります。
その他、入浴剤などを使用して、利用者様には心身ともにリラックスしていただきます。
全身を綺麗に洗い終わったら、最後はシャワーを使った上がり湯でゆっくりと洗い流します。
全身の水気を拭き取り終えたら着衣介助を行います。体が冷えないよう、ヘアードライは服を着てから行いましょう。
4. 入浴後の体調確認(バイタルチェック)
入浴介助後には、もう一度体調チェックして血圧、脈拍、体温などの健康状態を確認します。この時に、何気ない会話で利用者様とコミュニケーションをとることも大切です。
5. 浴槽の片付け
看護師が体調確認をしている間、ヘルパーとオペレーターは浴槽の洗浄・片付けを行います。
浴槽のお湯はホースを使い自宅の排水溝へ流し、部屋の床が濡れないよう細心の注意を払って、速やかに搬出します。
なお、この後に次のお宅へ訪問する場合は、浴槽の消毒も並行して行います。
介護業界初心者には訪問入浴がおすすめ
基本的に、訪問入浴はヘルパー・オペレーター・看護師の3人1チーム。バイタルチェックのため必ず看護師が同行するので、もしもの事があった場合も対応できます。ですので、常に1人で仕事をする訪問介護よりは安心なのかもしれませんね。
また、提供する介護サービスは入浴介助のみなので、業務内容自体は非常に単調。「入浴介助が好きだ」という方はおそらくいないと思いますが、訪問介護での調理や掃除が苦手という方には、おすすめできる仕事です。
そして何よりも、訪問入浴では目に見えて利用者様が喜んでくれます。お年寄りの笑顔に直接つながる仕事のなので、やりがいは十分に得られるでしょう。
入浴介助は同性介護の配慮も必要
女性ヘルパーを嫌がる男性利用者様は少ないですが、男性ヘルパーを嫌がる女性利用者様は意外と多いそうです。
もし、同性介護の要望があった場合、男性ヘルパーはオペレーターとして、浴槽の設置、ボイラー管理(温度調整)、給湯ポンプの操作など、入浴介助以外の業務サポートを行います。
訪問入浴は給料が高い?
一部特例を除き、訪問入浴には夜勤はありません。しかし、平均給料は月20万円前後と介護職では賃金が高い方と言われています。
さらに、介護職員処遇改善加算を加えれば、もう少し給料アップが期待できます。
また、介護職員初任者研修(ホームヘルパー2級)や介護福祉士を保有している方なら、資格手当が付く事業所もあります。
訪問入浴は残業少なめ?
訪問入浴での勤務時間に関しては、訪問介護同様に1件あたり何時~何時までと決まっているため、そこまで残業は多くありません。
ただし、事務所に戻った後に浴槽や機材の洗浄や消毒、片付けなどで、多少の残業は覚悟しましょう。
とは言っても、職員同士和気あいあいと雑談しながらの残業。コミュニケーションの場として割り切ることがポイント。
浴槽の搬入・搬出が一番キツイ
「訪問入浴は浴槽の搬入・搬出が一番キツイ!」といった意見が多く聞かれます。
一人で運ぶ浴槽の重さは約20kg。もし、訪問先がエレベーターの無い集合住宅なら…想像しただけでその辛さが理解できるかと思います。
また、入浴介助中も中腰の時間が長く、腰痛持ちや膝が悪い方にはおすすめできません。
その他にも、浴槽を運び入れる際に壁を傷を付けないようにだったり、床が畳やカーペットだと絶対に濡らせないなど、気をつかう場面が多く、精神的に疲れるという意見もありました。
1日に5~8件訪問することも
訪問入浴は、人件費や車両維持費など1件あたりのコストが非常に高いので、利益を上げるには件数をこなす必要があります。そのため、多い場合だと1日5~8件の自宅を訪問することも。
また、休憩時間も割と少なく、車内で昼食を食べる移動食は当たり前。訪問入浴は、給料が高くて残業も少なめですが、就業時間中はフル稼働ということですね。
訪問入浴はチームワークが求められる
職員同士の人間関係がギクシャクしては、利用者様に質の高いサービスは提供できません。特に訪問入浴では、職員同士のチームワークが何よりも大事。
ですが、余計な心配いりません。訪問入浴は比較的、職場の雰囲気が良いので、否が応でもチーム内は仲良くなるはず。
職員同士、普段からコミュニケーションをとって、良い関係性を構築しましょう。
訪問入浴で働くメリットや仕事のやりがい
- 給料が高いこと
- 夜勤がないこと
- 残業が少ないこと
- 利用者様の笑顔がみられる
訪問入浴で働くデメリットや仕事で大変なこと
- 力仕事が多く体力的にハード
- 休憩時間が少ないこと
- コミュニケーション能力が求められる
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介護保険では、訪問介護よりも訪問入浴の方が単位数が高いため、利用者様の多くは要介護度4~5と、介助自体が大変な場合もあります。
しかし、介護における入浴は、身体を清潔に保つだけでなく、血行の促進や心身のリフレッシュのためにも重要な行為。利用者様も訪問入浴を楽しみにしており、ヘルパーにしか見せない笑顔に出会える仕事です。
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