介護業界では人手不足が叫ばれていますが、その割に、職員への賃金は低いのが現状です。一方で、働く職場も3Kとまで言われており、大変な仕事にも関わらずそれに見合った給料は得られていません。
そんな過酷な介護業界で働きながらも、何とか高収入を目指そうと努力している方も少なくありません。そこで今回は、介護業界で働きながらも高収入を得るための方法として、実際に実現可能な選択肢の全てをご紹介したいと思います。
介護業界の平均年収
まずは介護業界で働く職業の平均年収から確認してみましょう。
介護士・介護職員・介護スタッフ・ホームヘルパー
正社員 | 年収289万円 |
---|---|
派遣社員 | 年収299万円 |
ケアマネジャー
正社員 | 年収348万円 |
---|---|
派遣社員 | 年収375万円 |
理学療法士・作業療法士・言語聴覚士
正社員 | 年収335万円 |
---|---|
派遣社員 | 年収337万円 |
介護事務・医療事務
正社員 | 年収315万円 |
---|---|
派遣社員 | 年収241万円 |
データ参照元:介護職求人の給料データ(介護求人ナビ)
この平均年収を見て、みなさんはどう思われますか?国税庁のデータによると、サラリーマンの平均年収は414万円となっておりますが、介護業界ではどの職種でもそれに届かず、それどころか平均100万円ほど年収が低くなっています。ちなみに、年収350万円というのはサラリーマンでは男性で25歳〜29歳の収入と同じとなります。
また、介護業界のみの年収に注目すると、正社員よりも派遣社員の方が年収が高くなっています。
企業にとって派遣社員は、現場の職員不足に対して臨機応変に対応できるため、高い時給で募集されているからでしょう。さらに、派遣社員の残業時の時給は割り増し料金になることも、年収が高い要因と考えられます。
ただし、私たち働く側にとってはメリットとデメリットがありますので、どちらが良いか年収だけで判断してはいけません。
一般企業に転職してもリストラや倒産のリスクはある
ただ単に、年収アップを目指すのであれば、一般企業に転職するという方法もあります。給料の低さが理由で介護業界から一般企業に転職するケースは珍しくなく、事実、一般企業から内定をもらいサラリーマンになって、介護業界で働いていたときよりも年収が高くなった方も大勢いることでしょう。
しかし、一般企業に転職するにもリスクは付き物だということを忘れてはいけません。
今から新しい仕事を覚えられますか?
まず、一般企業は介護と全く違う仕事内容になりますので、一から仕事内容を覚えないとなりません。職種にもよりますが、全くの畑違いなら介護で培った経験はほとんど役に立たないでしょう。
それに伴って、実働時間外でのストレスも増えるため、働き出してからの一定期間は肉体的にも精神的にもかなり辛いでしょう。
その辛さに耐えられれば良いのですが、せっかく転職に成功しても心が折れてしまい、早期退職し、結局、慣れた介護業界に戻る「出戻り状態」になっては元も子もありませんよね。
あなたが20代ならまだしも、30代、40代となれば新しい仕事を覚えるのも大変でしょう。職場によっては年下が上司となり、それもストレスになります。
入社した会社が倒産しないという確信はありますか?
さらに言えば、仕事環境の悩み以外にも、せっかく転職した会社が倒産する可能性もあります。
国税庁のデータによれば、設立から10年以内には90%の企業が倒産しているとのことです。
倒産のリスクは中小企業やベンチャー企業ほど高いと言えますので、安定志向で行くなら大手企業の内定を勝ち取るしかないでしょう。
介護業界にいながら年収をアップさせる選択肢が懸命
話しが回りくどくなりましたが、要約すると、介護業界で働いているなら資格や知識、スキルや経験を活かし、今の介護業界で年収をアップさせる方が懸命ということです。
仮に介護業界内であれば今の会社(法人)が倒産・廃業しても、あなたの人材価値は評価されますので、仕事がないという最悪の状況も回避できます。
介護業界で働きながら収入を増やす方法
資格の取得
今現在、介護業界で働いているなら、資格取得を目指すという方法も年収アップにつながります。
具体的には、介護業界で役立つ資格を取得して、資格手当や役職手当などで収入アップを目指します。
一般的に手当が出ると言われている資格は、介護福祉士や実務者研修などがあります。その他にも、喀痰吸引等研修や認知症介護実践研修などでも、資格手当が付く職場が増えています。
また、特定の資格保有者が職員として配置されれている場合は、国から助成金が得られる場合もありますので、職場の責任者と相談してから、取得する資格を検討すると良いかもしれませんね。
資格取得にはお金も時間もかかってしまうので、効率的な収入アップとは言えませんが、確実に自身の人材価値が高まり、将来的なキャリアアップにも役立つでしょう。
今の職場に長く勤める
どこの会社でもそうですが、長く勤めていけば、勤続年数に比例して自然と給料も上がっていきます。リクナビによる昇給率(1年で昇給する割合)では「1.45%」が相場と言われています。つまり、基本給が月20万円であれば、翌年は月20万2,900円にアップということになります。
また、勤続10年後の昇給率は「120%」とも言われており、現在の給料が月20万円なら、10年後には月24万円まで上がるという計算になりますね。その他にも、固有の昇給制度があるなら、長く勤めて収入アップを目指す方法もあります。
ただし、介護業界全体で給与は低い傾向にありますので、昇給も効率的な収入アップの方法とは言い難い部分でもあります。
給料アップの条件交渉をする
上司に今の待遇の条件交渉をすることによって、給料がアップする可能性もあります。主従関係において金銭の交渉はかなりシビアなところではありますが、お互い、良い年の大人同士。定期的に、現状の待遇に関する意見をぶつけ合う場も必要でしょう。
ただ、正社員の場合、入社後すぐの条件交渉はタブー(禁止)。最低でも3年は働いてからにしましょう。もし、勤続年数が3年を超える方であれば、交渉する価値ありです。もしかすると、多少なりとも給料を上げてもらえるかもしれません。
また、勤続年数も重要ですが、条件交渉による給料アップを目指すなら、資格を取得して自分の価値を高めておくと成功しやすいでしょう。
管理職を目指す
上記の全てを試したという方で、さらに給料をアップさせたいという場合は、管理職を目指す方法がおすすめ。管理職になることで、給料の上限が一気に突き抜けるはずです。
施設長やセンター長といった管理職のポジションは、一見するとハードルが高く、業務内容も難しそうに思えますよね。
ですが、実際のところは向き不向きの強い仕事で、すぐに慣れる人はそのままどんどん上へとキャリアアップしていきます。その逆に、管理職がダメな人は苦痛でしかなく、数ヶ月で現場に戻ってしまうとか…。
兎にも角にも、自分の可能性を信じて管理職に挑戦してみるのもいいでしょう。今の職場で管理職の募集があれば立候補、そういった役職の席が空いていなければ、介護転職サイトで「管理職」や「管理職候補」といった求人に思い切って応募してみましょう。
待遇の良い施設へ転職する
「資格の取得」「長く勤める」「条件交渉」「管理職」と4つの方法をご紹介しましたが、それよりも効率的で即効性がある年収アップの方法が転職です。
「今の職場でどうにかできないか試行錯誤したけど、どうしても年収アップが見込めない…」
そんな場合は、時間が勿体無いので、早々に今の職場を諦めて転職です。戦うフィールドを変えて、給料アップを目指しましょう。
副業をする
もし、毎日の中で時間に余裕があるなら、副業をするという方法も収入アップには効果的。副業は、無理をしてまでやることではありませんが、私が実際に試した方法をいくつかご紹介します。
アルバイト
副業をするならアルバイトが最も現実的でしょう。本業のシフトに合わせて、空いている時間をアルバイトに充てましょう。
ただ、1日中働きづめだと体が持ちません。慣れるまでは、翌日が休みの日で、週1のアルバイトからスタートするといいでしょう。時給1,000円のアルバイトを1日8時間なら、月32,000円の収入アップになります。
その他にも、夜勤のアルバイトを経験しましたが、こちらは正直おすすめできません。通常、夜勤は1日13時間~15時間の拘束時間で、途中に仮眠を挟むといった勤務形態ですが、これが意外とキツいです。
例え、仮眠の時間で2時間眠れたとしても、身体の疲れはほとんど取れません。そのため、疲れが溜まる一方で、生活リズムの乱れからホルモンバランスが崩れ、体調も崩れやすくなります。そうなれば、本業にも影響してしまいます。
アルバイトで副業をするなら、4時間程度の短時間で、長くても8時間ほどの労働時間に抑えましょう。
クラウドソーシング
副業をするという方法の1つにクラウドソーシングがあります。クラウドソーシングは、インターネット上でやり取りする仕組みの事で、在宅ワークや副業として人気のサービスです。
仕事はインターネットを使って行いますので、パソコンかスマートフォンがあればOK。あなたの都合の良い時間に働くことができますよ。
クラウドソーシングの仕事内容には、デザイン、文章作成、データ入力、アンケートなどがあり、特別なスキルや才能がなくても働けます。まずは、簡単な文章作成やデータ入力から始めるといいでしょう。
クラウドソーシングの給料は「1件1,000円」といった報酬形式になります。
例えば、1日1時間1000円分の仕事を、就寝前にちょこっとやれば、単純計算で月3万円ほどの収入アップになります。もちろん、やればやるだけ副業の収入は高くなり、本業を超えてしまう人も珍しくありません。
ただ、クラウドソーシングでは、自分で仕事を探さなければいけない事と、「簡単な仕事=単価が低い」という事の2点を覚悟しておきましょう。クラウドソーシングを始めるならランサーズがおすすめです。
おすすめサイト:日本最大級のクラウドソーシング「クラウドワークス」
投資をする
結果はともあれ、収入アップのために投資も試しました。投資というと有名なところでは、株式やFXなどになりますが、その他にも投資信託やバイナリーオプションといったものもあります。
これらの投資は、介護業界に限らず、収入アップを目指したい人の多くが行う方法です。投資を始めるにはある程度の資金が必要になりますが、そこまで難しいことではなく、誰でも始めることは可能です。
ただ、アルバイトやクラウドソーシングと比べると、確実に収入アップにつながるかどうかは未知数であり、最悪の場合、投資した金額以上に損失を出して、借金を背負ってしまうケースもあります。
資金さえあれば見返りも大きい投資ですが、それだけリスクも大きいので、投資で収入アップを目指すなら、まずは何に投資をするのか決めて、投資の勉強から始めてみましょう。
行動しないと収入は増えない!
何もしないで高収入を得ることの難しさは伝わったかと思いますが、今回ご紹介したように、介護業界で働きながらでも、今より収入をアップさせる方法はいくらでもあります。
即効性のあるものから長く時間のかかるもの、確実なものから不確実なものまで、どの方法を選ぶかは自由ですし、当然、個人によって向き不向きもあるでしょう。
その中でも、やっぱり転職が最も効率の良い方法だと個人的には思います。現在30代で介護施設勤務の筆者自身も、これまで3回の転職を繰り返して、やっと年収450万円ほどまでアップさせることができました。
もし、私と同じように転職で高収入を目指すのであれば、1人で悩むよりも転職支援サービスの利用を強くおすすめします。
転職エージェントやキャリアコンサルタントと呼ばれる人たちは、転職したい人の手助けをしてくれて、給料やボーナスなどの条件交渉も代わりに行ってくれるスペシャリストです。
転職に関するサポートが受けられる以外にも、今より給料が高いところで働ける可能性もグンと高くなります。
転職支援サービスは無料なので「直近の転職の予定はないけど相談したい」という方でも大丈夫。
転職の話しに限らず、どうやったら給料が上がるか?どうすれば介護職で高収入が得られるか?など、プロによる貴重なアドバイスが受けられます。是非、一度、試しに相談してみてはいかがでしょうか?