小規模多機能型居宅介護施設とは、ひとつの事業所で複合サービスを提供できる形態の居宅介護サービスです。提供可能な介護サービスは「通い」「泊まり」「訪問」の三種で、それぞれ利用者の様態と希望に応じて提供されます。
登録制で定額制の新しい介護業態
小規模多機能型居宅介護施設はひとつの事業所に対して最大29名まで登録可能と定員が定まっています。その定員数内で通いを利用できるのは15名まで、泊まりを利用できるのは9名までです。訪問に関しては希望に応じて対応するといった形で、訪問回数に応じて介護報酬が加算される仕組みです。
登録定員 | 29名以内 |
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通い | 15名以内 |
泊まり | 9名以内 |
訪問 | 都度対応 |
また利用料金にも特徴があり、要介護認定における介護によって利用者負担額が定額制となっています。
施設内サービス (通い・泊まり) |
訪問介護サービス | |
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要支援1 | 3,403円 | 3,066円 |
要支援2 | 6,877円 | 6,196円 |
要介護1 | 10,320円 | 9,298円 |
要介護2 | 15,167円 | 13,665円 |
要介護3 | 22,062円 | 19,878円 |
要介護4 | 24,350円 | 21,939円 |
要介護5 | 26,849円 | 24,191円 |
※表記は1割負担
※その他に、宿泊費、食費、おむつ代が別途必要になります
ワンストップで利用可能な地域密着型サービス
小規模多機能型居宅介護施設を利用するメリットは、利用サービスごとに事業所と契約する必要がないということ。そのため利用者にとっては契約の省略化や、連絡先が一元化されたり、信頼できる職員に全てを任せられるといったことが大きな利点です。
また、小規模多機能型居宅介護施設は地域密着型サービスということで、要介護認定を受けており、かつ事業所の所在地に住民票が存在する高齢者のみ利用可能となっています(住所地特例も利用可能)。そのため、利用者の多くは顔の知れた知人同士となり気兼ねなく過ごせるといったこともメリットとしてあげられます。
小規模多機能型居宅介護施設の配置職員
認知症介護実践者研修の配置が義務
小規模多機能型居宅介護施設では、認知症介護実践者研修を修了した介護職員の配置が義務となっています。
小規模多機能型居宅介護施設の利用者情報
小規模多機能型居宅介護施設は居宅介護サービスとなり、あくまで利用者の自立を支援することが目的の事業です。そのため、日常的な介護が必要な高齢者、重度の認知症高齢者、四肢麻痺といった重度の介護状態と診断された高齢者は利用できません。
小規模多機能型は管理職次第で激務になる
ただ、管理職やケアマネジャーが利用を許可すれば介護職員はその対応に追われることになります。つまり、その事業所での業務が楽なのか忙しいかは、利用者の見極めを行うポジションの判断次第と言えます。現状の介護保険制度では、医療行為や感染症が不要といった最低限の基準しか設けらておらず、すでに破綻している事業所も少なくないと聞きます。
転職する際は絶対に職場見学を行うこと
ですので、小規模多機能型居宅介護施設に転職する場合は、かならず事業所の見学を行い、どういった利用者を受け入れており、どういった職員で構成されているか確認したほうがいいでしょう。
管理者やケアマネジャーと直接話せる機会があれば、どういった基準で受け入れ可能と判別してるのかも聞ければ最善です。通い、泊まり、訪問の比率に偏りがないかも確認すべきです。また、人員や業務の効率的な分散ができるサテライト型事業所の有無も重要なポイントです。